きよこの書き散らかし小説。
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Deep Forest

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第24話 ジャイさん品定め作戦、計画編

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「だったら、合コンする?」

 電話の向こうで、舞子はのん気なことを言う。
 日曜日、昼間の内に部屋の掃除をして、一息ついたところで舞子に電話をした。
 舞子は彼氏とデート中だったみたいだが、ドライブ中で暇だからと私の相手をしてくれている。
 ドライブしてるんだったら、彼氏と仲良くおしゃべりすりゃいいのに。
 五年も付き合っているから、その辺はもう気を使いあう必要が無いらしい。

「なんで合コンなの」

 つい、ぶうたれる。
 ジャイさんとのことがひっかかってしまった私は、大親友(たぶん)の舞子に相談することにしたのだ。
 本気かどうかはさておき、ジャイさんは私のことを好いてくれている。私も、嫌いではない。
 でも、だからと言って付き合うのも、何か違う気がする。
 喉に刺さった魚の骨みたいに、飲み込めない何かが、くすぶってる。
 気になって気になって仕方ない。だけど、取り除こうとあがいても、それはしぶとく存在する。

 ジャイさんに対する感情が、自分でもわからないのだ。
 好きなの? と聞かれたら、嫌いではない、と答える。
『好き』と『嫌いではない』はイコールではないし、相容れない感情だ。
 やっくんと別れて不安定な今の私には、冷静な判断が出来ない。今、ジャイさんを好きだと思ったとしても、それが本物の『好き』ではないような気がする。
 そういうあいまいな気持ちをひきずりながら、ジャイさんと付き合うことが、私には出来そうに無い。
 ふられて傷心しているなら、新たな誰かと付き合うことで傷を癒すのも選択の一つだろう。
 でも、その選択を選びたいと思えない。
 いつかはそうすることがあるかもしれないけど、今の私には出来ないことなのだ。

 どうすればいいのかわからなくて、どっちつかずに彷徨う気持ちを誰かに話してすっきりしたかった。
 それで舞子に相談したら、舞子は開口一番。

 合コンする? ときたもんだ。

「だってさあ、好きかそうじゃないかわかんないとか、寂しいから勘違いしそうとか、だったら寂しくないような環境に身を置いてみるしかないじゃん」

 舞子は強気な口調でそう言う。

「とりあえず楽しいこといっぱいすればいいよ。楽しくして寂しさを紛らわせなよ。それから判断すりゃいいでしょ」

 楽しいこと、ねえ。
 ――ジャイさんとのデートはそれなりに楽しかった……かな。

「合コンで別の男を見てみるのも手じゃない? 別の男とデートしてみなって。そいつと遊んでも今みたいに悶々としないなら、ジャイのことそれなりに好きってことかもしれないよ?」
「え? 悶々って?」

 矢継ぎ早に繰り出される舞子の『ジャイさん品定め作戦』についていけなくなってくる。
 ベランダに干した布団に寄りかかりながら、もう一回言ってとせがむ。

「凛香さあ、ジャイのことすごい気にしてるじゃん。悶々してるじゃん。他の男に対してもその悶々抱えるんだったら、ジャイがどうのってことじゃなくてやっくんのことを未だひきずってるってことでしょ? 逆にジャイにだけだったら、ジャイのこと好きになる可能性高いってことじゃない?」

 舞子はジャイさんのことをさん付けしなくなってしまった。ジャイなんだかジョイなんだかジェイなんだかわかんなくなってくる。

「もしくは、ジャイとやれ」
「は!? やれって、何を!?」

 ベランダで大声を出してしまい、声が思いっきり外に響く。家の脇の私道を歩いていた小学生がびっくりした顔で見上げてきた。
 慌てて柵の下に身を隠し、声のトーンを落とす。

「な、……やれって、は?」
「エッチしてみれば?」

 あんた隣に彼氏いるんだよね!? と問いただしたくなる。電話の向こうから大笑いしている声が聞こえるから、舞子の彼氏に私との会話は筒抜けなんだろう。

「シラフでエッチすれば? ジャイの気持ちを確かめられるんじゃない?」
「ば、バカ言わないでよ! 私が遊び人だと思われる!」
「酔っ払ってヤる時点で、そう思われてるから今更だって」
「今更言うな! あれは、私がとち狂ってただけで! もうあんなことしないって、ジャイさんに言ったもん!」

 舞子の言うことは正しいよ。遊びでセックスするような女だって思われてしまっているから、ジャイさんは私にモーションをかけてくるのかもしれない。
 それがわかってるから、不安なのに。はっきり言われると、さすがの私でもへこむ!

「酒飲んでるときなんて、お互い判断能力低下してるでしょうが。酒飲まないで誘ってみてさ、ジャイがノリノリになるんだったら、あんたのことそういう目で見てるってことじゃないの?」
「そういう、目って?」
「ヤれる女」

 頭痛がしてきた……。

「だめって言ってくれたら、真剣に考えてくれてるってことかもよ?」

 舞子の言うことはわからないでもない。
 でも、試すような真似をすることが、まず気がひける。
 それに。

「言ってくれなかったら、へこむよ」
「もしかしたら凛香のこと好きすぎて逆に『やっと俺に心許してくれた!』って喜んでエッチしちゃうかもしれないし。判断基準にするには、微妙かもね」

 言いだしっぺのくせに、否定した!

「私から言わせれば、ジャイのこと、すごい気にしてるよね。それって、恋の始まりじゃない?」
「こいのはじまり」
「こうしたら相手はどう思うんだろうとか、こんなこと言ったら相手はどうするんだろうとか、そういうのって、相手のことを真剣に考えてるってことじゃない? 気になる、気にしてる。それは恋ですよ、お姫様」
「こい」
「池の鯉じゃないからね」

 どばーんと頭の上で鯉が跳ねた気がした。

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【2009/10/01 02:34】 | Deep Forest(恋愛)
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