きよこの書き散らかし小説。
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Deep Forest

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第50話 舞子戦争、勃発

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「これでいいわけあるかああああ!!」

 どんっと置かれたビールジョッキが割れてしまうんじゃないかと思って、つい顔を青くする。月曜日の会社帰り、休みの舞子に連絡を取り、こうして飲み屋に来ている。
 月曜日なんていう憂鬱まっさかりの日にわざわざ呑みに行ったのは、言わずもがな、昨日の件だ。

「あんた、馬鹿じゃないの!」

 乾杯をして、一杯目のビールを飲み干したあと、私は舞子にジャイさんとの経緯と、ウコン君とのことを話した。
 その反応がこれ。一杯目だっていうのに、もう酔っちゃったのか、舞子の顔は真っ赤だ。いや、舞子は酒が強い。酔ってるんじゃなくて怒ってるから顔が赤くなってるんだ。

「馬鹿って、なにさあ」

 口を思いっきり尖らせたら、その唇を掴まれて引っ張られた。けっこう痛くて悲鳴をあげるのに、舞子は止めてくれない。

「信じられない! ジャイのこと、振るなんて!」
「だって、好きって言ってくれないしぃ」

 まさかこんな怒られるとは思ってなかった。なぐさめてくれると思ってたのに。
 舞子のことあなどってた。私としたことが。
 やっと唇を離してくれたから、もう二度とつかまれないように両手で口を隠しながらぶうたれる。

「じゃあ、なに? 好きって言ってくれりゃあ誰でもいいわけ?」
「そういうわけじゃ、ないけど」
「浩太は好きって言ってくれるから、のりかえようって魂胆?」
「魂胆とか人聞き悪い!」

 ウコン君とのこと、忘れてたわけじゃないけど、忘れてた。
 好きになりそうと、告白予告みたいなことはされてるんだ。
 彼ははっきりと気持ちを表現してくれる。
 それはまさに私が今求めているもので、そういう意味では、ウコン君との今後をきちんと考えてみるべきなのかもしれない。

「浩太のことはどう思ってるの?」
「……まだ三回しか会ってないからなんとも言えないけど……恋愛対象として考えてるよ」
「半端は止めてよね」

 焼き鳥の串をはずす手に力がこもってる。皿まで突き割りそうで、私の方がビクビクしてしまう。

「半端って?」
「浩太は私の友達だから。やっくんやジャイの代わりで付き合うなんてまねしないでよね」
「代わりなんて……」
「違うの? 結局ジャイに対してもそうだったんでしょ? だから一度は付き合うの承諾したくせに、代わりにならないからって振ったんでしょうが」
「違うよ!」

 今日の舞子は怖い。どうしてここまで怒ってるのかさっぱりわからない。
 険悪な空気に飲まれそうになった時、ちょうどいいタイミングで店員さんが次のお酒を持って来てくれた。
 受け取ったモスコミュールをすぐさまぐぐっと飲み込んで、舞子はでっかいため息を吐く。やっぱり怖い。

「ジャイのこと、真剣に考えてんの? 凛香、自分のことばっかり」

 グサグサと舞子のセリフが突き刺さってくる。あながち間違っていないから反論が出来ない。

「相手に求めてばっか。凛香って、そんな女だったっけ?」

 グサッと刺された上に抉り取られてる気分だ。

「好きって言って、好きって言ってえ! そればっか! お前はどうなんだっつうの!」

 再びグラスを叩き割る勢いでテーブルに置くから、液体が飛び散ってしまった。半笑いになりながら、おしぼりでテーブルを拭く。

「凛香はジャイのことどう思ってんだよ! それが一番大事でしょうが! 相手に求める恋愛なんて、ろくなもんじゃないよ! そんなん愛じゃない! ただのエゴなんだよ!」

 このセリフは大砲級。撃たれて瀕死。

「だって、わかんないんだもん! 好きかどうかわかんないのに、好きなんて言えるかっつうの!」

 大砲に負けるわけにはいかない。満身創痍で打ち返すが、舞子の防御は鉄壁だった。

「逃げてるからわかんないんだよ!」

 大砲どころかミサイルだ。

「逃げてない!」
「逃げてるよ! 傷つくことから逃げてんだよ! やっくんに振られた痛手背負って、二度と傷負いたくないから、ぶっさいくに包帯巻きまくってんだよ! もういらないでしょうが! 包帯取れ!」
「意味わからん!」

 舞子のミサイルを迎撃ミサイルで打ち返したつもりだが、的をはずして負傷した気分だ。捨て台詞で逃げようとしたが、舞子歩兵部隊は逃してくれない。

「傷が見たくないからぐるぐるぐるぐる包帯巻きまくって、傷から目をそらして。見えてないから気付かないし、まだ痛いと思い込んでさ。包帯とったら、驚くんだよ。あれ? 傷治ってる!」

 膝をどつかれる。舞子の平手は冗談でも痛い。思わずうめきながら膝を抱え泣きまね。

「傷の一個や二個でビービー騒ぐな! 名誉の負傷なの! 凛香が頑張ってやってきた証なの! いいじゃん、傷ついたって。次の恋に活かせばいいだけじゃん。臆病になるなんて、凛香らしくない」

 歩兵部隊は、どうやら救援部隊に様変わりしたらしい。

「ちゃんと考えな。逃げ出すなんて、らしくないよ。浩太と付き合うことになっても、私は反対しない。私の友達だから、大切にしてほしい。ジャイとやり直すなら、浩太のことはちゃんと振ってやって。気持ちに区切りをつけさせてやるのも、優しさだよ」
「……うん」

 気持ちに区切り。
 舞子の言葉は的を射すぎてて、ずたぼろにされた気分だ。でも、妙に清々しい。長い付き合いだ。私の叱咤激励の仕方を、舞子は心得てる。
 私はいつもそれをありがたく拝聴し、反芻し、自分を省みる。
 反発心が生まれる時もある。落ち込んで立ち直れなくなりそうになる時もある。それでも、舞子の言葉は私を生かす。活力を与えてくれる。

「負のスパイラルにはまって、悲劇のヒロインぶるのなんて、凛香には似合わないよ。あんたはいつもあほみたいに笑って、偉そうにふんぞり返ってるのが似合うの」

 それが似合う女もちょっと微妙……。

「そういうわけで、ジャイに電話しなよ」

 つり目がちな目を細めて、舞子はワントーン高い声を弾ませる。
 ていうか、今、なんて言った?

「ゴメンネTELしちゃいなよ」

 語尾にハートが乱舞してる。

「舞子少佐、意味がわかりません」
「電話せいちゅうとろうが。ケータイ貸せや」

 舞子大佐、昔の血に火がついた模様です。ヤンキーです。絡まれた。

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あとがき↓
ブログペットを飼ってるんですが(パソコンだけ見られます。左のバーにいるコブタ)、真似して記事を書いたようです。

大半は何を書いてんだかわかんないのに、たまになんとか意味の通じる文章を書いてくるんですよね。

胃液の熱さでざわめき続ける!!ってなに?(笑)
どうみてもゲ○について熱く語っているようにしか思えないのですが。

こんな話し合いを求めて。ってどんな話し合い求めてんの!?

ここから読めます↓
ぷっちょん部屋

前回のお話は、けっこう反響があったようでうれしい限りです。
凛香に対して肯定的、否定的両方の意見がありましたが、そのどちらもありがたかったです(^^)
なるべくリアルな女の子を描きたいんです。
ずる賢かったり、妙に純真な一面を見せたり。
ある程度、恋愛にこなれてきた年齢の女の子特有の、計算高さやかけひきめいたやり方、エゴイスティックな部分。
そういった負の一面をちゃんと描けていけたらなーと思ったりしてます。
もちろん、夢の無い小説なんて面白くないと思うので、少女マンガみたいな部分もがんがん書きたいです笑

拍手やご感想、ありがとうございました。
お返事はTOPのResから読めます。


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ブログペットを飼ってるんですが(パソコンだけ見られます。左のバーにいるコブタ)、真似して記事を書いたようです。

大半は何を書いてんだかわかんないのに、たまになんとか意味の通じる文章を書いてくるんですよね。

胃液の熱さでざわめき続ける!!ってなに?(笑)
どうみてもゲ○について熱く語っているようにしか思えないのですが。

こんな話し合いを求めて。ってどんな話し合い求めてんの!?

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前回のお話は、けっこう反響があったようでうれしい限りです。
凛香に対して肯定的、否定的両方の意見がありましたが、そのどちらもありがたかったです(^^)
なるべくリアルな女の子を描きたいんです。
ずる賢かったり、妙に純真な一面を見せたり。
ある程度、恋愛にこなれてきた年齢の女の子特有の、計算高さやかけひきめいたやり方、エゴイスティックな部分。
そういった負の一面をちゃんと描けていけたらなーと思ったりしてます。
もちろん、夢の無い小説なんて面白くないと思うので、少女マンガみたいな部分もがんがん書きたいです笑

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【2010/04/17 03:43】 | Deep Forest(恋愛)
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