きよこの書き散らかし小説。
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メリークリスマス!


たとえば、この恋








 たとえばこの恋に終わりがあるのだとしたら。




「ねえ」

 呼びかけて振り返る、その時の。

「明日は、会える?」

 一瞬見せる、困った顔。

 眉尻を下げて、黒目の大きな瞳を少し細める。

「……ごめん」

 答えを出される前に、私は自分で答えを出してしまう。
 だって。
 怖いんだ。

「また、ね」

 学校からの帰り道、駅前の踏み切りで、いつものように別れる。
 手を振ったのと同時に、踏切が鳴り始める。点滅する赤い光に照らされる表情が、あの頃のものとは変わっているのを、今、知った。
 閉ざされるのは、この踏み切りだけじゃない。
 私はきっと、私の心の扉も、閉じてしまう。

 またねと笑って、明日も会えると信じて、当然のように明日も一緒にいるって、思っているのに。

「明日は、ある……?」

 明日もあさってもしあさっても世界はずっと続いていけばいい、と思うのに、今すぐ終わってほしいとも思う。
 明日の辛さと、あさっての切なさと、しあさっての苦しさが、ずしりとのしかかって、重たくて仕方ない。

 灰色の空は、かすんだもやを漂わせて、私から『正しい判断』を奪う。

「ねえ」

 呼びかけても、答えてくれる声は無い。

 わかってる。私が我慢すればいいだけのこと。
 自分を追いつめてるのは、自分自身だってこと。
 だからこそ――だからこそ。

 一人で歩く家路はやけに遠くて、冷たい空気でむき出しの足が冷える。足の先っぽがジリジリと悲鳴をあげていた。


 彼の顔が、今は直視できない。
 きちんと見てしまったら、きっと居たたまれなくなって逃げたくなる。

 もっと笑ってほしい。
 困った顔をさせているのは、私だから。

 笑ってよ、心の中で、呪文のように投げつける。

 人懐っこいあの笑顔が、好きだったのに。

『メリークリスマス』

 携帯電話の液晶画面に踊る文字を見て、胸が高鳴る。

『明日はどこに行く?』

 ――明日。

「一緒にいられれば、それだけでいい」

 ぽつりとつぶやいて、携帯電話を閉じた。

 明日もあさってもしあさっても、どうかずっとその先までも。

 ずっとずっと続いていきますように。

 破滅をどこかで願っても、彼との繋がりがあるだけで、やっぱり世界は続いてほしいと願ってしまう。

 現金な、思考回路。

「サンタさんには、何がほしいってお願いしたの?」

 スーパーから出てきた親子の会話が耳につく。
 赤いセーターを着た幼稚園児くらいの女の子は、「うさぎー」と大きな声で返事していた。

――サンタさんには、何がほしいってお願いしたの?




 サンタさん。私は、時間が欲しい。

 彼と一緒にいる、時間。


 
 たとえば、この恋に終わりがあるのだとしたら。


 終わらない恋を、ただ願うだけ。







あとがき↓
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メリクリ記念作品です。

明るい話を書こうと思ったんですが、ここは逆をついて暗い話にしてみました!

バックグランドが見えないようにしたので、『私』と『彼』がどういう状況なのかはご想像にお任せします。
一応、拙作(なろうに投稿した作品含め)の中のどれかの主人公なんですけど。
そこはヒミツです(笑)


皆様、素敵なクリスマスをお過ごし下さい(^^)


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【2009/12/25 01:29】 | 短編小説
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こんばんは^^
こゆみ
あちらの日記から飛んで参りました!

いいですね、こんな切ない胸のうち。
相手の気持ちを深読みしてしまって、自己完結してしまう彼女の気持ち解る気がします。
読んでいて「頑張って」と思わず声を掛けてしまいそうになりました^^

そんな不器用な恋もいいなぁ

それにしてもクリスマスって良いですね。
こうやって、素敵なお話を読めるのですから^^

では
メリークリスマス! 良い夜になるといいですね♪


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